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2007年11月










 2007サマースポーツセミナーin大阪 第2課より

戸村基貴先生

戸村基貴先生 
トータル・テニス・プランニング代表
プロテニスコーチ。スポーツメンタルアドバイザー。
テニス雑誌 T.Tennis 「眼から鱗のメンタルメソッド」 を過去2年間連載。現在現場指導、セミナー活動に活躍中。  
ホームページ:http://www.feel-tennis.net


  大脳生理学からスポーツ原理を学ぶ

 「大脳生理学」と言うと難しく聞こえますが、そんなにややこしいものではありません。基本の原理は非常に簡単です。  まず一番のポイントは、「人間の脳は、個人によって差がない」ということです。生まれてきたときは、ほぼみんな変わらず同じような条件、素質や才能というのは、あまり関係ないんですね。
  基本的に脳は、経験を通して脳神経細胞のネットワークが作られていきます。脳神経細胞のネットワークの作られ方が、その人の能力を決めていくことになります。どういう価値観をもって、どういう経験をするかによって能力が決まるんです。  つまり、環境因子のほうが強いんですね。  両親がどんな方だったのか、どういう躾けをされたのか、指導者がどんな価値観でどういう指導をしているのか、こういう部分がプレイヤーの差を生み出しているわけです。だから「入り口はみな一緒」なんです。


  「脳」の力を伸ばすとは?

   その人の力は脳の使い方でほぼ決まる、これが私の考え方です。「能力」「脳力」です。結論から言いますと、「能力」を伸ばしたければ、「脳」の力を伸ばせばいいということになります。  では「脳」の力を伸ばすとはどういうことでしょうか?
  脳は非常に複雑です。脳医学の分野では、まだ解明されていないことがたくさんあります。しかし、いくつかわかってきていることもあります。脳力を伸ばすためには、まず脳のメカニズムを知る必要があります。


  白いキャンパスに描くのが大脳

戸村基貴先生   ところで、スポーツの動作はどのようにして覚えているのでしょうか? それは、大脳と小脳のメカニズムが大きく関係します。  実は、大脳と小脳では、記憶のメカニズムは全く相反するということがわかってきています。  大脳における記憶のネットワークは、もともと何もないところから始まります。「記憶」という画を真っ白なキャンパスのなかに描いていこうとするのが、大脳の記憶の仕方です。
  「佐藤さん」という名前を覚えようとしても、最初はなかなか覚えられないですね。「佐藤さん、佐藤さん、佐藤さん」と意識する、そうやって大脳に刺激を送っていくことによって電気信号が起こり、シナプスが伸びていく。その結果、記憶というものができあがります。


  大きな石を削り落とすのが小脳

   では、小脳はどうなっているんでしょうか。
  小脳は大脳とは全く反対で、最初におおざっぱにつながっているものが、ミスをしていくことでどんどん消えていきます。  例えば、迷路を想像してみてください。入口から入った電気信号は出口に向かって進みます。途中で間違った道だと気づいたら、そのルートが消えます。またもう1回ミスをしたら、それも消えていきます。そうして間違いを消していって、最後の残ったルートができたとき、それが記憶となります。
  実は、スポーツの動作は、この小脳で記憶されるんです。  初めて自転車に乗れたときのことを思い出してください。ある日、突然自転車に乗れるようになったら、今度はコケられないですよね。こけるの難しいですよ(笑)。でも、おかしくないですか。それまでは、乗ろうと思っているのに乗れないんですよ。それがある時を境に、コケられなくなるんです。
  みなさんがしているスポーツでも同じことありませんか? できる世界に入ってしまったら、できない世界に戻れませんよね。でも、成長過程のプレイヤーには、それができません。その過程が、小脳で間違い探しをしている状況なんです。  だから、大脳を使って意識して記憶しようと頑張っても、動きは記憶できません。小脳を使って、ミスをして回路を切って残ったものが、動きとして記憶できます。小脳はミロのヴィーナス。大脳はゴッホ。全然違います。
大脳と小脳のメカニズム



  メンタルが強くなる理由

   指導者やプレイヤーがこのメカニズムを理解していると、副次的にメンタルが強くなるんです。
  なぜでしょう?
  それは「ミスしてもいい」と思うからです。ミスをすることによって、回路ができるわけです。ということは、ミスしないと絶対ダメなんです。  みなさんが、赤ちゃんのときに歩けるようになったのは、いっぱいミスをしているからです。  ところが、プレイヤーを育てるときには、一般的にミスをしないように指導します。「ミスしちゃいけない!」って意識しているんですね、それも大脳で…。これが、いつまでもミスをする原因です。だから、ミスしたほうがいいんです。

  間違い探しを速くするには?

   小脳における間違い探しは、速く見つかったほうがいいですよね。
みなさんの周りにもいませんか、要領のいい子。
 「アイツ、すぐできるな」
という奴いますね。要領のいい子は間違い探しが早いです。
  それには「集中力」と言われるものが関わってきます。試合で「ここ集中しなきゃ」と思うとき、ありますね。指導者も「集中しなさい!」とよく言ったりします。
  では質問。
  「集中」って何でしょう?
  私は小学生のときに剣道をやっていたのですが、よく「はい、集中!」と言われました。一生懸命集中しようとしてやっているのに、指導者が「もっと集中しろ」って
言うんですね。じゃ、どうすればいいんだって言いたくなります(笑)。
  最近「α波」という言葉をよく耳にすることが多くなりました。集中している状態は、α波状態。つまり「無」の状態です。言っておきますけど、宗教じゃないですからね(笑)。
  α波と反するものがβ波です。これは、思考状態や緊張状態のことです。そして、「無」の状態に対応するのが「セルフトーク」、頭のなかでのおしゃべりです。
集中→α波→無  自分が調子いいときは、あんまり何も考えていないですね。これが「集中=α波=無」の状態です。やりたい放題やってるんですけど、うまくいきます。逆にうまくいかないときは、いろいろ考えるんです。考えるほどうまくいかないんですね。

もっと詳しく知りたい方は、
戸村先生のホームページ(http://www.feel-tennis.net)へ



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