−山歩きのジレンマ−
5月にエベレスト街道をトレッキングして、美しい山の景色よりも心に残ったのは、そこに暮らしている人々の姿でした。車も通らない山奥で、畑を耕し、牛を飼い、人力で荷物を運び、つつましく暮らしている人たち。一見すると貧しい生活? でも、歴史を紐とけば、大昔から何千年も何万年も人間は生まれた土地で、そこで採れたものを食してつつましく暮らしてきたので、世界中どこでも行けるようになったのはここ何百年のこと。都会に住んで、世界中からおいしいものをお取り寄せして、グルメな生活を送っている私たち現代人の方がおかしい生活をしているのかもしれない…。 私といえば、クーラーのきいた事務所でパソコン、プリンター、FAX等電子機器に囲まれて、言葉も交わさずキーボード上で仕事をして、移動は車。大型スーパーで輸入食材を買って家に帰る。せめてマイバッグを使い、ゴミは分別しているけれど…。でも、私の生活はエコロジーな生活とは言えない。ただ、地球の環境を心配してはみても、仙人のように山奥で暮らすことはできないし、今の生活のなかでできることはほんの微々たることだけ。 山歩きを楽しんでいても同じようなジレンマを感じます。日本中、いや世界中の山を歩いて楽しみたいところですが、それはただの自己満足なのかもしれない。便利に山へ行けるけど、その一方で道路が通り、山道が崩れ、緑がなくなり、生態系が崩れ、動植物が絶滅していく…。 自然環境を維持するには入山規制や開発の規制など、法的な整備も必要ですが、振り返って自分の山の歩き方も考え直す時期にきているのかもしれません。 とりあえず、今の私にできることは…タクシーに乗らない? 山行回数を減らす? でも、突き詰めていくと、山に行かないのが一番ということになってしまいそうなので、あまり考えたくないことです。でも、ほんの小さなことでも「地球にやさしい山歩き」のために、自分にできることって何かあるのでは。 環境破壊や地球温暖化が心配される今、考えなくっちゃ…と思っています。 (「稜線」No. 奈川県・藤沢山の会 斎藤緑)
−東京スキー協総会に参加して−
会費の値上げという重要な議案が提出された割には、静かな総会でした。会員拡大を持続しているクラブの教訓。消滅を目前にしているクラブの現状。会員の事態を把握していないクラブ。会報発行や会員の交流を地道に継続していく重要性と成果。スキー協の社会的存在意義とその正当性。スノースポーツとしてのアルペンスキーやボード、ネイチャーなどの愛好家の獲得。そして、現財政構造を考案および将来の収入構造の見込み。発言は多様でした。
ただ、現状報告としては理解できても、スキー協が進むべき方向を明らかにするものではありませんでした。
なぜなら、会費を値上げしなければならない原因が、議案に明示されていなかったからです。現在の活動を継続するには資金が足りない。それだけです。現状を無条件に肯定し、会員減少に対する検証は一切なされていません。今、スキーヤーは何を求めているのか、なぜスキー場に足を運ばないのかには目を向けていません。スキーヤーやボーダーたちの悩みや迷いを知ろうとしていません。それでは机上だけの、そして不毛の論議に終わっても致し方ありません。
スキー協の理念を否定するつもりは、まったくありません。大義として、大いに主張し、行動すべきです。だから、議案には賛成をしました。財政の危機には、妥協は必要であると考えたからです。しかしながら、会員の減少という現実が、正しくない活動方針から発生していることを認めない限り、スキー協の未来はないと考えます。
私が、東京スキー協の総会に出席したのは、30数年ぶりのことだと思います。その間、スキー協ばかりかスキー業界を取り巻く状況は、激変しました。バブル景気に乗せられた無計画な投資。経済状況の悪化による、リストラという名の不当な解雇。失政から目をそらす規制緩和。雇用と収入の減少。年金、医療、教育の計画的な崩壊。なにより、一億国民の総白痴化の完成と憲法9条放棄の道程。
こんな時代だからこそ、スキー協が誕生した時の原点に立ち返りたい。「スキー、大好き。楽しいスキーをみんなで一緒に」を目指し、裸一貫から出直すしかないと思うのです。守りは弱体への一里塚。日本のスキー界を再生するのはスキー協しかないのですから。それを強く感じた総会でした。 (「こなゆき」No.165東京都・スキークラブこなゆき五十嵐民夫)
−'07国民平和大行進に参加して−
初めて参加しました。台風の影響で出発から雨がシトシト降っていました。私が行きたいなと思ったのは、高砂から姫路まで知らないところを歩いてみたいという、平和行進の趣旨からいうと不純な動機からでした。
しかし、皆さん熱心で、中村さんは兵庫県に入ってから毎日参加、東京からずっと歩いてこられた方もおられ、私は小さくなって周りをキョロキョロと眺めながら歩きました。「今日はまだ雨だからかえって楽なのよ、天気が良いと暑くて暑くてボーっとなるくらい」と、皆さんの話を聞きながら歩きました。
山電の大塩駅前で昼食、午後は浜沿いに白浜、灘、飾磨しかま、姫路と歩きました。旧街道沿いの道を通ったので、昔の雰囲気の残っている町並を眺められ、嬉しくなりました。姫路城公園に着いたとは雨はビショビショと降り、明日は台風が通過予定、広島までの道は遠いなあと思い、帰路につきました。
(「あかり」No.266兵庫県・山の会アルプ 大岡春美)