北京五輪とアジアへの視点
― スポーツ界も孤立を深めようとするのだろうか―
昨年もそうでしたが、元旦の朝、新聞各紙を買い求めました。各紙とも本紙のスポーツ欄とともに、別刷りでオリンピック・スポーツ特集を組んでいました。これらの記事を追いながら、我が国のスポーツ界にズームインしてみたいと思います。
1964年の東京大会、88年ソウル大会に続いてアジアで3度目の夏季オリンピックですが、紙面には「激烈、メダル争い」(朝日新聞)「メーンポールに日の丸は何回、掲げられるのだろうか」(産経新聞)「華の挑戦者メダル追う」(東京新聞)などの言葉が躍っています。そこからはオリンピックが持つ平和・友好・親善などの意義や価値について、またアジアの一国としてスポーツを通じてのアジアへの視点を感じとることができません。
これでは競技レベルで世界との差が拡がるばかりでなく、世界のスポーツ界での孤立化が進むのではないでしょうか。JOCは、国際発言力強化のために各競技団体が連携して対応するため、プロジェクトチーム設置の検討を開始したと言います。国際的な視野を持ちつつ自国のスポーツの発展をはかることができるか。活動展開を見守りたいものです。
その一方で、選手の心の中には、いろいろな価値が芽生えているようです。昨年、IOC選手委員会に立候補した室伏広治は、「順位とか勝つことだけにこだわっては、愛すべきスポーツを守ることができない」と、IOCに提出した文書に英語で書いたそうです(朝日新聞)。また塚原直也は、初詣の折、世界選手権の代表になれますようと願っていましたが、最近は「世界が平和でありますように」と願っているそうです(毎日新聞)。
「一つの世界、一つの夢」をテーマに掲げる北京オリンピックは、8月8日開幕します。
続いて9月6日、北京パラリンピックが開幕します。パラリンピックは、英国の病院が第二次世界大戦の戦傷者の社会復帰を目的に1948年に始めた車いす患者によるアーチェリー大会が起源です(読売新聞)。感動的な熱戦と日本選手の活躍を期待したいと思います。
野球の話題を2つ。高校野球は今年、春が第80回、夏が第90回記念大会です。もう一つは、「セ・リーグの巨人中心のブランド力が陰りを見せ、地域密着を鮮明にしたパ・リーグが勢いづいている」(日経新聞)ことです。プロ野球界の地殻変動といえましょう。それは良い方向への地殻変動です。
2010年W杯サッカーアジア第3次予選は、岡田新監督のもと2月6日に始まります。
(新日本スポーツ連盟理事長 永井 博)