編集部推薦記事
読者のひろば
<--ザ・ボイス-->

Field ・フィールド
会報ピックアップ

2003年12月号 グラビア

第2回全国オープン身体障害者名古屋ふれあい卓球大会
2003.10.25〜26 名古屋市千種スポーツセンター

10月25日、愛知県名古屋市・千種スポーツセンターに集まった卓球愛好者は、12都道府県から下肢、上肢、聴覚、精神など障害のある人、ない人も含め、約200人。「第二回名古屋ふれあい卓球大会」に参加した人たちです。

2回の大会の実行委員長を務めるのは、卓球仲間から親しみを込めて"しんちゃん"と呼ばれている渡辺紳一郎さん(下肢障害)。大会開催の思いを、
「大会の一番の目的は、日本の障害者卓球の普及と発展です。健常者と一緒の大会を開くことで、障害者卓球の状況や選手たちの卓球への思いを健常者の人たちに少しでも感じ取っていただければ、うれしいですね。それから、ぼく自身がシドニーパラリンピックをめざしましたが、今一歩で代表の座を射止めることができず残念な思いをしましたので、この大会が、若い人たちがパラリンピックを目標にできる環境を作り出す一助となればと考えています」
と語ります。

シングルス開会式 球すじを見きわめてボールを待つ

1日目は、障害者卓球ではあまり開催されないというダブルス戦。初級と中級の区別はありますが、男女ペアも多いので男女の区別はありません。

上肢障害・下肢障害のペア、障害のある人とない人のペア、車いす同士のペアなど、多様な組み合わせでダブルス戦を楽しみます。中には、「二人とも一人で参加したからちょうどいいと、当日ペアを組みました」という、神奈川と岡山のペアもいました。感想は、
「普段ダブルスをやっていないこともあるけど、自由に動けない肢体不自由者にとってダブルスはむずかしい! 車イスルールがあるように、ダブルスの場合は肢体不自由者用のルールが必要じゃないかと感じた」
とのこと。新しい提案をすることで、大会も幅が広がります。

試合には35ペアが出場し、中級(15ペア)は5チーム、初級(20ペア)が4チームによる総当たり予選リーグ、順位別(A〜Eクラス)決勝トーナメントへと進みます。

淡々と試合を進めるペアがあるかと思うと、一球一球に思いをのせて声を出す人、ふがいないプレーに台に突っ伏して悔しがる人など、そのパフォーマンスはさまざまですが、実行委員長の開会あいさる「日頃の成果を思う存分に発揮して楽しい大会にしよう」の言葉どおり、真剣にそして楽しく試合にのぞんでいました。

2日目は、シングルス。午前中は、身体障害(下肢・上肢・聴覚など)の男(48人)女(18人)、車イス(12人)の各部門に分かれ、熱戦を展開しました。

午後は、オープン大会(障害の違い、障害のあるなしにかかわらずレベル別に区分)。男女中・初級と男子上級の5区分で争われました。

49人と一番参加者の多かった男子中級の順位トーナメントが終わったのは、夜7時。フルセットの熱戦が続き時間がずれ込んだため、運営側では急きょ表彰式を取りやめる措置をとっていました。


車イスで上級の部に出場した宇津木孝章さんは、
「普段は車イス卓球の大会に出場しているが、いつも同じ顔ぶれになってしまう。沖縄に行ったときも同じ人とやって、ちょっとガッカリした。でもこの大会は、いろいろな人と試合ができて楽しい。試合自体も楽しめるし、大会名のとおり"ふれあい"って感じがする」
と、大会を思いっきり楽しんだ様子でした。

岡さん(左)と北川さんペア 大会後、二冠に輝いた岡和彦さん(静岡県=男子ダブルス中級・オープン上級)と三枝ひろみさん(愛知県=身障者女子・オープン中級)にお話を聞きました。

岡さんは静岡県で障害者卓球の指導をする健常者。試合に出場する思いを、
「勝つことで、選手がぼくを目標としてくれるとうれしい。もちろん、勝つことにこだわるわけではないけれど、指導をしている障害者たちに勝つ姿を見せることで技術的な説得力を持つようになるし、どうやって勝つ卓球をしているかなどを勉強してもらいたいという思いでやっている」
と、語ってくれました。

また、一番苦戦した対戦としてあげてくれたのは、準決勝の本多利行さん(愛知県)との対戦。その感想を聞くと、
「彼はこれからもっと伸びるよ。将来は、名古屋を背負って立つ選手になるんじゃないかな。ただ、試合運びがまだうまくなくて、いい技術を持っているのに、それを出すときが違うんだな。その辺を直していけば強くなるよ」
と、厳しいがあたたかい言葉が続きます。

卓球をやっている人みんながうまくなってほしいの思いは他の選手も同様で、卓球台をはさんで熱い対戦を繰り広げていても、対戦が終わると卓球台を囲んで試合の感想を出し合い、互いの反省会が始まります。また、
「打ったのをはじめて見たよ。そうじゃなきゃ」
と声をかけ、対戦者を励ます選手もいました。卓球をしている仲間として、一緒にうまくなりたい、強くなりたいという思いが伝わってきます。

三枝さん 上肢障害の三枝さんは、23歳の若手。二冠に輝いた感想を素直に「うれしい」と表現したあと、
「全国からいろいろな人が集まっていて、レベルが上がるに従って、卓球をやらせてもらえないという感じがした。ダブルスにも出たけれど途中棄権してしまったから、そのくやしい思いを交流のほうにぶつけたけど、決勝戦(対間瀬ふじ子)は、思い通りの卓球をさせてもらえなくて苦しかったぁ。最後まであきらめなかったことがよかったと思う」
と大会を振り返ってくれました。

「正直言って厳しいと思うけれど、決定不足のスマッシュを鍛えて障害者の全国大会でベスト4以上、優勝もめざしたい」と次への抱負も語っていました。
「片手でのサーブはむずかしくない?」の質問に、三枝さんは
「私の場合は、まだ片手が自由になるでしょ。卓球の大会に出るようになって、私なんてまだまだ甘いということを知らされた。もっともっと厳しい状態で卓球をやっている人がいることを知ったのも、卓球をやっていてよかったことのひとつ」と明るく答えます・・愚問でした。

ボランティアは58人。タモを持ってボール拾いを、聴覚障害者の呼び出しに紙をかかげて会場内を走ったりと大忙し。けれど、最後まで明るく駆け回るボランティアに支えられた"愛知ふれあい"卓球大会は、明るさと温かさがあふれる大会でした。
(取材・編集部)



Copyright(c) New Japan Sports Federration. All rights reserved.